水中カメラマン中村卓哉の海フォトギャラリー




エンジェルケア(死化粧)

純白のサンゴが太陽光に照らされて輝きを放つ姿に目を奪われた。
それはまるで死化粧をほどこされたかのように綺麗だった。

そう、事実このサンゴは何千歳という長い生涯を終わろうとするところなのである。
それも人間の手によって破壊された地球環境の犠牲者として尊い命が絶たれてしまうのだ。

サンゴは年間の平均水温が1℃上昇するだけで命の危険にさらされてしまうほどデリケートな生き物である。
水温の上昇と共にサンゴに共生する藻類が暑くて外に飛び出してしまう事で栄養分を吸収出来なくなり、骨格が脆く崩れてしまうのだ。
この状態を「白化現象」と呼び、今や世界各地で同じような症例が報告されている。

魚達の産卵や隠れ家となるサンゴ礁は「海のゆりかご」と例えられる程、生態系にとって重要な場所である。そこを失う魚達にとっても死活問題となるわけだ。

普段見過ごしてしまいがちなちょっとした風景の変化が、もしかしたら地球のガン細胞なのかもしれない。

白化するサンゴ
撮影地:沖縄県久米島 

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Breth

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   海の王者

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水面から見上げる屋久杉

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